「B Corpハンドブック翻訳ゼミ」開講! 「あたらしい会社の学校」プロジェクト

バリューブックスと黒鳥社が、ともにムーブメントをおこすメンバーを大募集!

B CorpのBは、BenefitのB。公共の利益を生み出す企業を示している。[Photo by Sven Mieke on Unsplash

世界最大のスーパーマーケット・チェーンであるウォルマートに、サステナビリティの観点からアドバイスをしていたことでも知られるアウトドアメーカーのパタゴニアの創業者のイヴォン・シュイナード。彼は、とあるインタビューで「いい会社は、何から生まれるのか?」という問いに対して、こう答えている。

「責任だよ。前回の景気後退のとき、パタゴニアは過去最大の成長を経験した。景気後退では人は愚かなものや1~2年で流行が廃れるものを買うのを止めるからだと思う。長持するものだと思えば、より良い品質の、必要なものを買うだろう。ただ欲しいからという理由ではなくね。パタゴニアはそういったものを作っている。だから我々のビジネスはとても強力だ。(〜中略〜)私たちは顧客にこう伝えている。『パタゴニアからモノを買う前によく考えてください』と。本当に必要なのか、それともただ退屈していて何かを買いたいだけなのではないか。そしてパタゴニアは作る製品に対して永久に責任をもつ」

サステナビリティ、ダイバーシティ、SDGs、ESG投資……。こんな言葉を目にすることが増えた昨今、自社の利益を確保するだけではなく、社会問題を解決し地球の未来を考えることが、企業に求められている。それは本来嫌々やらなければならない「宿題」ではない。当たり前の責任を果たし、全てのステークホルダーに対して利益を生み出すこと。それ自体が目的であり、ビジネスはそのための手段にほかならないのだ。

そんな社会的な責任を果たしている企業を認証する世界標準の仕組みが、Bコーポレーション(以下、B Corp)だ。

非営利団体の「B Lab」によって運営されている社会や環境に配慮した事業を行ない、ビジネスを通してそれらの課題を解決する営利企業を認証する仕組みである。「フェアトレード」の企業版といっていい。

冒頭で触れたアウトドアメーカーのパタゴニアはもちろん、アイスクリームのベン&ジェリーズ、クラウドファンディングプラットフォームのキックスターター、そして、ダノン、ユニリーバといったグローバル企業も、複数の支社やグループ企業が認証をうけている。

B Labは「ビジネスにおける『成功』を再定義する」ことを目標に、2007年からアメリカのペンシルバニア州で活動を開始。現在、認証を受けた企業は3,600社を越え、74カ国に拡がった国際的なムーブメントになりつつある(2020年11月9日現在)。

認証を受けるためには、社会や環境に対する成果を、高い基準に基づいて評価する「Bインパクトアセスメント」の調査に回答後、B Labによる審査を受ける。審査後、B Labが定める社会的・環境的ミッション、社員や近隣のコミュニティ、顧客などに対する責任などの条件をもとに定款を改定し、「相互依存宣言」に署名する。一度認証を受けた後も、認証を更新するためには、「Bインパクトアセスメント」による評価を3年に1度行い、その結果を公開する必要がある。

そして、同認証を受けるための入門書ともいえるのが、『The B Corp Handbook』である。2014年に初版、2019年にはB Corp認証企業のインタビューを含めた増補版が発売された同書は、認証を目指す企業にとっての第一歩としてつくられたベストセラーだ(ちなみに、同書を出版している Berrett-Koehler PublishersはB Corp認証を取得している)。

書籍のなかでは、B Corp認証を取得することで生まれるメリット、取得するために満たすべき基準である「Bインパクトアセスメント」の詳細な解説、そして実際に進めるべきステップが詳細に示されている。本書を読み進めながら、ワークシートに記入することで認証に至るまでの具体的なステップを知ることができる。同書は、中国語にも翻訳され、ムーブメントの世界的な波及の一翼を担っている。

ただ、世界的な拡がりと比較して、日本ではB Corpの知名度はそれほど高くなく、認証をうけた企業も6社に留まっている。(2020年11月9日現在)

そんななか、本邦での動きを加速すべく、自身も認証の取得を目指している本の買取販売を行なうバリューブックスが、『The B Corp Handbook』の日本語翻訳権を取得。コンテンツレーベル・黒鳥社と共同で、出版に向けた「ゼミ」をローンチするはこびとなった。

ファシリテーターは、バリューブックスで認証の取得を進めている同社取締役の鳥居希と、黒鳥社のコンテンツディレクター・若林恵。さらにメンターとして、パタゴニアの日本支社で「不必要な悪影響を最小限に抑える」ための取り組みを担当、アジアでのB Corp事情にも明るい篠健司も参加する。ゼミ形式で同書を翻訳しながら、B Corpムーブメントを日本で実現し、さらにそれを実装するためのコミュニティーとなる。

募集するメンバーには「日本企業のB Corp認証取得に関心があること」が求められる。将来的にB Corp認証の取得に携わる担当者と、ともに翻訳を行なうことで、認証企業が増え、日本でのムーブメントのきっかけになることを意図している。また、ゼミへの参加は有償ながら、その成果物としての日本語翻訳版の翻訳印税が参加者にもシェアされる予定だ。最終的な書籍の編集は黒鳥社が担当する。

関連記事:「B Corp」はみんなでつくるもの:バリューブックス・鳥居希に聞く「あたらしい会社」が求められる理由

本ゼミはバリューブックスと黒鳥社による「あたらしい会社の学校」プロジェクトの一環として行なわれる。本プロジェクトでは、B Corpをはじめとした「企業のあたらしいあり方」を参加者とともに考えていく予定だ。B Corpに関わりの深いゲストを国内外から招聘したトークイベントなどの開催も構想している。

B Corpの創業者であるジェイ・コーエン・ギルバートは、B Corpの国際化においては「国の地域性に合わせて微調整が必要だ」と語っている。コミュニティベースでの翻訳という作業は、日本固有の言葉や社会について思考を巡らしながら、B Corpについて学び、それを実装するための場となる。

COVID-19による不確実性の高い世界のなかで、企業は改めて生き残る道を探っている。いまこそ「あたらしい会社」を考え、実装することが不可欠になりつつある。B Corpハンドブック翻訳ゼミでは、世界に拡がるサステナブルな企業のありかたを原文のもつ意味や背景、そして日本社会の現状を考えることとなる。ともにそんな「あたらしい会社」を探求する機会にぜひご参加いただきたい。

ファシリテーターの若林恵が運営する「黒鳥社福祉センター」(ゼミの開催はオンラインになります)

「B Corpハンドブック翻訳ゼミ」概要
〈募集を締め切らせていただきました。たくさんのご応募ありがとうございました。〉

日時・場所:2021年1月から6月の毎月第3月曜19時〜21時。オンライン開催(Zoomにて実施予定)。[2021年1月18日、2月15日、3月15日、4月19日、5月17日、6月21日の19:00〜21:00]

参加費用:3万円(税別)[メンバーは翻訳者として日本版にクレジットされ、翻訳印税が翻訳印税がレベニューシェアされる予定です]

応募条件:
1)全ての回に、オンラインで参加できること
2)課題(『The B Corp Handbook』の翻訳)を毎回提出すること
3)大学受験レベルで日英翻訳ができること
4)日本企業のB Corp認証取得に関心があること

定員:10名(応募多数の場合は審査を実施させていただきます)/主催:バリューブックス・黒鳥社/お問い合わせ:atarashi-kaisha@blkswn.tokyo

鳥居希(バリューブックス 取締役)|慶應義塾大学文学部(フランス文学専攻)卒業後、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社に15年間勤務。2015年、長野県上田市を拠点として古本の買取販売を行う株式会社バリューブックスに参画。2年間古本による寄付「チャリボン」を担当。現在は経営陣の1人として、財務や広報を行う。その中で、会社の指針となるであろうB Corp認証の取得に向けて取り組んでいる。
若林恵(黒鳥社 コンテンツディレクター)|1971年生まれ。編集者。ロンドン、ニューヨークで幼少期を過ごす。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒業後、平凡社入社、『月刊太陽』編集部所属。2000年にフリー編集者として独立。以後、雑誌、書籍、展覧会の図録などの編集を多数手がける。音楽ジャーナリストとしても活動。2012年に『WIRED』日本版編集長就任、2017年退任。2018年、黒鳥社(blkswn publishers)設立。
篠健司(パタゴニア日本支社 ブランド・レスポンシビリティ・マネージャー)|早稲田大学商学部卒業後、就職情報企業に就職し、1988年、米パタゴニアの日本支社に入社。一旦、同業外資他社で2年間勤務するも復職し、環境非営利団体の支援プログラムを担当した後、現在はコアバリューのひとつ「不必要な悪影響を最小限に抑える」ための取り組みを担当している。B Corp Asiaの年次総会に2016年から3年連続でボランティア参加。社外では一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン監事、公益社団法人日本自然保護協会理事。

テキスト:矢代真也(SYYS LLC)

B Corpをはじめとした「企業のあたらしいあり方」を考える、バリューブックスと黒鳥社によるプロジェクト